高松高等裁判所 昭和24年(控)737号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(要旨)しかし職權で調査すると、原審第三回公判調書中檢事の裁判長の〓明に對する陳述によれば檢事は先づ本件を一回の行爲であつて強姦致死と殺人の二罪名に觸れるものとして審判を求め、豫備的に本件を一個の行爲で強制猥褻致死と殺人の二罪名に觸れるものであるという訴因を主張したものと解するを相〓とする。この樣な場合主たる訴因を排斥するときは判决理由中にその判斷を示すのを妥當の措置というべきであるが、その點はしばらく措き、予備的訴因中の一個につき犯罪の證明があつたときは他の訴因につき證明がない場合でも單一の事件である限りその訴因について主文で無罪の言渡しをすべきではない。蓋しこの場合も被告事件につき犯罪の證明があつたとき(刑事訴訟法第三三三條)に當るものであつて有罪の判决をしなければならないからである。原判决が本件予備的訴因中強制猥褻致死の事實を認めたに拘らず殺人の點を犯罪の證明なしとし刑事訴訟法第三三六條を適用して主文で無罪の言渡しをしているのは右の理由に依り失當であつて原判决は破毀を免れない